「信念こそすべてだ!」
ヘンダーソン大使と語らうゲッベルス(右)。ナチ党大ベルリン大管区指導者であり、ライヒ国民啓発・宣 伝大臣であった
ゲッベルスは、ナチ党内では当初ヒトラーに対抗するシュトラッサー派に属し、党内左派を代表する論客であったが、ヒトラー
に謁見した途端、「天啓を感じて」終生変わらぬヒトラー信者に変貌したという。その忠誠ぶりは敗戦時、殉死するかのよう
な死様に表れていると言える。肉体的ハンディキャップと正統的知的卓越性は彼を神話的存在に見せ掛けている要素であるが
結局はヒトラーという時代精神に寄生し、自らの箱庭的世界観を充足させていただけであった。ナチス体制でのユダヤ人迫害の
象徴的事象である「ライヒスクリスタルナハト」と情報統制の象徴的事象である焚書はともにゲッベルスが発動したのである。

全く迷惑な信念であったといえる。